巻頭特集は「穴場の旅に出かけよう」。GW企画として、宮崎、福岡、熊本県北、水俣・不知火と、九州の隅々にある風光明媚なドライブ&宿泊スポットを掲載。
スペースワールドに加わった新アトラクションを興奮気味に紹介する誌面の勢いを見ると、H29に閉園した同園の楽しい思い出がよみがえります。
この号でもっとも、平成に始まった世相の変化を感じるページは、巻中の「コンビニを使いこなそう!」というミニ特集。
すっかり普及しきってしまった今、暗くて静まり返った「コンビニが一軒も無い昭和の夜」を思い出すのは難しくなったけど、このページにはコンビニ出現と普及の衝撃、歓迎しつつも少しおずおずとした、あの頃の気配が感じられます。暴走族や客引きの取り締まりが強化されて、夜の治安が改善されたことも関係しているかもしれません。
H9年の鹿児島を振り返ると、ローソンとファミマが競合しつつ、SPARが独自の存在感を示していた頃。サンクスの県内初登場はH11年で、セブンイレブンはH23年と、かなり空きます。
内容はおすすめ商品紹介のほか、お弁当、おにぎり、デザートの比較。保健・衛生回り、文房具など暮らしの便利グッズ紹介や、コンビニ商品+アルファの簡単料理レシピもあり。
ともかく「敬遠してまだ行っていない人は、まず一度コンビニという所へ行ってみよう」と呼びかけるような内容で、現在の普及ぶりから考えるとまさに隔世の感です。
巻頭のキーワード「穴場」つながりなのか、たまたまか、もう一つ興味深い巻中特集は「1997 音のある風景」。SR.STUDIOにJ.J.CALL’Nといったライブハウス、ミュージックバーから、当時シーンの顔役だったDJやバンド、G3アーケードで座り込んでいた弾き語りデュオまで紹介されています。
なかなか定着しない、集客に苦しむ、とも聞く地方の「音楽を楽しむ」カルチャー。鹿児島で受け継ぎ支えるハコや、熱いプレイヤーたちの想いがバトンされてきた歴史、深夜から明け方までその音楽シーンに密着した取材魂まで、読んで感じるところの多い内容です。
平成中期まで、モノクロのページには、読者や編集部の恋愛・結婚への関心の高さがうかがえます。
「平成恋愛白書 ’97鹿児島の恋愛事情」には、ファーストキス平均16.2歳、初体験平均17.9歳、初めてのSEXはつきあい始めて平均41日目、といったアンケート結果が。
映画紹介のコーナーのイチオシは、役所宏司と黒木瞳の熱演が話題を呼んだ映画『失楽園』。大ヒットし、この後数年はお便りコーナーなどに「不倫」というキーワードが頻出するようになります。
「突然ですが、あなたのプリクラ見せてください!」という、読者が撮ったプリント倶楽部=プリクラを紹介するだけのコーナーも1ページあり。フレームも画質も、今見るとずいぶん素朴ですね。