21世紀のライフスタイルを模索する巻頭特集は、「うれしい時もつらい時も、ココだけが私の居場所 ひとりでなごめるカフェ」。取材するカフェ選びのコンセプトは「ひとりでなごめる」、つまり後の世に言う“おひとりさま”向け。
なかなか先見の明があった企画なのではないでしょうか。ラインナップは今グッドネイバーズになっている石蔵に以前あったハビーダイナーや、閉館・解体前までタカプラで営業していたNorsemyth 、mouffe cafe(武岡に移転)、チルアウト・カフェ(閉店)、TO THE HERBS、国分のble cafeなど。ちょうどこの頃から一気に垢抜けた鹿児島の街の雰囲気に、一役も二役も買った功労者ばかりです。
巻中特集の「ほのぼの商店街」も、心なごむ誌面。扉ページのおばあちゃまの笑顔がいいですね。西駅一番街、小川町、谷山、中郡、真砂本町に西田本通り。デフォルメの効いたイラストマップと、商店街の顔役たちの愛あふれるコメント、名物店紹介というスタイル。再開発や代替わりで、今や商店街としてのまとまったイメージを感じ取り難くなった商店街もいくつかあるので、商店主と買い物客のにぎやかな会話が聴こえてきそうな、誌面にパッケージされた2002年と比べてみると、少しうらやましくなります。
巻中にはほかに、県内の窯元と陶工を集めた「陶工の技、器の妙」も。休日に窯元めぐりをするような、美を愛する感性のある趣味人向けの情報です。読者に一定数の陶芸ファンがいるから成り立つ内容で、世代だけではくくれないLEAP読者の特徴、文化への関心の高さがうかがえます。
モノクロページの「鹿児島コレクターズ図鑑」は、そんな文化度の高さ、マニアックさが突出した10人を取材したインタビュー。人選も内容も、ひたすら濃いですね。カメラコレクターとして登場している石原寛さんは、戦前の古写真提供など、LEAP特集にもたびたび協力いただきました。
ニューオープン情報に、今では店舗を構える「豚とろラーメン」の第1号店が。人気連載の「野口拓男的私見。」は最終回でした。