巻頭のカラー特集は「GWはここで遊ぼう」。時代というべきか、経済感覚の隔たりを感じるのが「スペースワールド&門司港など近場の旅」というサブコピーです。
県外、それも隣県ではなく北九州や門司ともなれば、どう考えても遠出の範疇に入ると思いますが、九州内なら近場、遠出は東京や外国、といった距離感・経済感覚がこの頃のLEAPだった、と推測できます。
とはいえ実際の誌面内容は、スペースワールド、門司港のレトロな街並みだけでなく、熊本の菊池渓谷という隣県の避暑地から、県内の甑島、佐多と本当の近場まで、幅広い旅行先を紹介しています。モノクロの第2部では霧島、小林、人吉のレジャースポットも。
インドア派向けには模様替えの情報。本紹介のコーナーではおすすめの郷土本と漫画が原作になったノベライズ本など、提案性のあるセレクトが効いています。
巻中の名物アンケート特集のテーマは「鹿児島の若者事情」。恋愛・結婚編の質問項目 Q:結婚資金としていくら準備する? の答えを見ると、1000万円が1人、500万円以下12%、300万円以下32%、200万円以下34%、という結果。今の若者がこんなに貯められるか? また貯めているか? と考えると、1995年、数年前にバブル自体は弾けたものの、バブル期にすでに就職していた若者の金銭感覚だなあ、と感じざるを得ません。
ライフスタイル編の質問項目には、 Q:松田聖子をどう思う? 。1980年代の懐メロ番組などに出てくるアイドル歌手としての彼女しか見ていない若い人は、「なぜ松田聖子なんだろう?」といぶかしく思うかもしれません。
当時の彼女は33歳。アイドルを脱し全米進出を図っていた時期で、1990年と1996年にはアメリカでシングルも発売しています。奔放な男性遍歴も注目を集めていました。
年齢的にもライフスタイルとしても、キャリア女性のロールモデルのように捉えられていた時期なので、LEAPのアンケートに採りあげられるにはぴったりの人選だったのかもしれません。
アンケート結果は好き22%、嫌い18%。ただし嫌いと答えた人はかなり言いたいことが多かったようで、ぎっしりと長文でコメントが寄せられたようです(笑)
時代を感じさせるのは、NEW DISCのコーナーで紹介されているザ・ストリート・スライダーズのアルバム「WRECKAGE」。難破、という意味で、収録曲の中にも瓦礫の中に影を落として大事なものを拾い集めるといった描写があり、1月に起こった阪神・淡路大震災で報道されたショッキングな光景が想起されます。
鹿児島のまちの変化を感じるのは、「City Times」にある天文館G3アーケード完成の記事です。オープニングセレモニーのゲスト坂上次郎さんは、「10年後には、さらに発展しているだろう」と語ったようですが、その後日本全体を覆ったのは未曾有の長期不況でした。今後のタカプラ再開発に、期待しましょう。